この2つの言葉、読み方は同じ「けんしん」ですね。でも、この2つの言葉の意味は全く異なります。
「健診」:これは健康診断の略語です。「特定健診」、「学校健診」、「職場健診」、「雇入れ健診」などのように使われています。
「健康診断」は、「健康であることを確認するためのもの」です。
病気をしていない人々が受けるべきもので、1年に1回や、何かの節目に健康であることを確認・証明するために受けるものです。
検査内容は、身体計測、血液検査、尿検査、胸部X線など基本的なものが中心になります。
「健康診断」を行う意味は、健康であることを確認するためでもあるのですが、病気にかかっている人だけでなく、これから病気になりそうな人を積極的に拾い上げて、病気を未然に防いだり、早期に治療するために行っています。
このような検査を、医学用語では、「スクリーニング」と言います。
健康診断には、このような特徴があるので、血液検査などの基準値はかなり厳しく設定されていて、そのために異常を指摘される方が多いです。ですので、「健康診断の異常=病気」ではありません。
健康診断で異常を指摘された場合は、医療機関で再検査・精密検査を受けて、本当に病気があるのか確認する必要があります。
「検診」:これは「特定の病気(がんのような病気)がないのかを調べるためのもの」です。
「大腸がん検診」、「乳がん検診」、「肝炎ウイルス検診」、「心臓病検診」などのように使われています。
市町村などの自治体や職場などが補助金を出す形で、40歳、50歳、60歳、65歳などのように年齢の節目に受けることが多いです。
発見が遅れると命に関わったり、後遺症を残すような病気を、早期発見・早期治療するために行う検査です。
目的とする病気によって行う検査が異なります。
・胃がん検診:バリウム検査・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
・大腸がん検診:便潜血検査
・乳がん検診:視診・触診・マンモグラフィー・乳房超音波検査
などがあります。
普段の忙しい生活の中で、ついつい後回しにしてしまう「けんしん」ですが、「健康であることは「あたりまえ」ではない」ことを認識していただき、健診・検診をうまく活用して、自分らしい生活を送っていただければと思います。
院長 石原 仁毅